9月3日 シンポジウム 特別報告

「世界は見ているーユネスコ/IUCN調査団が沖縄に」「やんばるの森と辺野古の海を守ろう」というタイトルのシンポジウムで、東恩納琢磨は名護市議会がIUCNから受け取った手紙についての特別報告を行いました。

名護市議会はIUCNに対して2016年の9月の「4度のIUCN勧告・決議を踏まえ、辺野古新基地建設にかかわる日本政府が行った環境アセスの検証をIUCNに求める決議」

を出しました。これは、IUCNが日本政府に再三ジュゴン保護などを訴える決議を出しているにもかかわらず、日本政府が十分な措置を行っていないことに対して、IUCNが直接かかわるように求めたものでした。

今年2月、IUCNは市議会議長宛に、決議への返信を送ってきました。そこには日本政府からの要請があれば、外来種保護などのために専門的な知識をIUCNが日本政府に提供できるという内容でした。

そこで名護市議会は今度は日本政府に対して「IUCNの協力要請を受けるように日本政府に求め、及び沖縄県がIUCNに協力を要請することを求める決議」

を上げ、日本政府に、IUCNの協力を受け入れるよう求めました。また、今年5月に私と日本自然保護協会、ジュゴン保護キャンペンセンターとが、この決議への回答を求めて、外務省、環境省、防衛省の担当者と話し合いを持ちました。そこでの回答は外務省は「これは環境省の管轄であり、我々は対応しない」環境省は「防衛省の管轄であり、我々は対応しない」そして「防衛省はジュゴン保護、外来種対策など適切に行っているので、IUCNへの協力依頼は必要ない」というものでした。

日本政府はIUCNの手紙に、上のような回答すら送っておらず、全くの無視をしている状況だということがわかりました。

辺野古の環境アセスは「史上最悪」と言われるほど、ずさんなアセスでした。しかしたくさんの国の違法行為をめぐって起こした私たちの訴訟では、その違法行為に対する判断は全く下されず、実質的に私たちは門前払いとされました。

そして今、(たとえパフォーマンスであっても)工事が始まっていますが、すでにジュゴンへの影響が出てきていることがわかっています。

外来種対策も、砂利を洗う、しかしその責任は業者任せ、と、お世辞にも十分とは言えない対策どまりです。

私たちは9月にユネスコ登録のために訪れる予定となっているIUCNの専門家たちに、この日本のアセスと、その後の日本政府の環境保全対策を検証することを求めていく考えです。

 

シンポジウムでは、吉川秀樹さん、沖縄大名誉教授の桜井国俊さん、稲嶺進名護市長が登壇し、それぞれ貴重なお話をされました。真喜志好一氏の司会、安次富浩氏のあいさつ、海勢頭豊さんのコンサートなど、盛りだくさんでした。

市長選、知事選に向けて、機運を高めていく事が必要だという認識を共有できたと思います。

 

琉球新報

 

この日話し合われた、ジュゴン訴訟については、また後日報告したいと思います。